コンサルに転職後、失敗する人は一定数存在する
今も昔も、コンサルティング業界は新卒・中途ともに非常に人気の高い業界です。
コンサルタントは、大企業の役員クラスを相手に、経営戦略や事業戦略といった難易度の高いテーマの課題解決をするといった頭脳集団のイメージが強いでしょう。
実際、コンサルに入社してくる新卒や中途も非常に高い偏差値の人たちが多いです。
また、私自身もコンサルに転職した動機は「ビジネスパーソンとして高いスキルを身に付けたい」「事業戦略の立案に関わりたい」といったものでした。
しかし、いくら経歴が良かったり、偏差値が高くても入社する人全てがコンサルで活躍できるわけではありません。
むしろ、コンサルに転職して「失敗した」と感じる人が一定数は存在します。
特に中途で入社する”転職組”は、コンサルの風土に合わなかったり、スキルが足りなかったり、マインドが合わないことで失敗してしまうケースが少なくありません。
今回は、コンサルに転職して失敗する人の特徴・パターンについて、現役コンサルの視点を踏まえて紹介していきます。
コンサルに転職して失敗する人の6つの特徴
コンサルに転職した後に、社内で思うように活躍できなかったり、スキルが身についていなかったり、プロモーション(昇格)できない人には、つの特徴があります。
実際に私の周りで上手くいっていない人にも共通して当てはまります。
もちろん、全ての特徴に当てはまる人は多くありませんが、ありがちな共通点は下記の6つです。
- 下積み業務に耐えられない
- 自信があり過ぎる
- 単純に打たれ弱い
- 今後のキャリアが明確
- コンサル転職理由が「給与アップ」のためだけ
- 長時間労働に耐えられない
それぞれについて解説していきます。
下積み業務に耐えられない
コンサルで失敗する人の1つ目の特徴は、下積み業務に耐えられないということです。
下積み業務とは、パワーポイントの資料作成や市場分析から議事録作成や印刷のような雑務まで幅広くあります。
コンサルに転職すると、上位レイヤーで入社していない限り、基本的には上記のような下積み業務からスタートします。
資料作成といっても、コンサルタントという役職が全てを作成するわけではありません。
マネジャーやシニアコンサルタントが中心に考えたストーリーの資料の一部をコンサルタントが作成するという役割分担になります。
当然、資料に使う言葉や文言などは非常に細かい部分まで指摘されますし、チャートやグラフも色使いや位置まで気を遣わなければいけません。
また、市場分析などを行う場合も、上位者が考えた切り口に沿って地道に調査材料を集めてExcelで計算式を組んだりといった作業が発生します。
このような、ほんの一部の業務領域に対して、細部にわたって気を張り巡らせる下積み期間が数年続きます。
そのため、このような地道な業務を行なっていると、「あれ?自分てこんなことしてていいんだっけ?」「こんなことするために入社したんだっけ?」という疑問が生まれてきます。
当然、今後のコンサルとしてのキャリアには必要な期間なのですが、こういった業務に耐えられない人はモチベーションを保てずに辞めていったり、プロモーションできないケースが多いです。
自信があり過ぎる
2つ目の特徴は、自分に過度な自信を持っている人です。
コンサルに転職する人の多くは、現在の会社である程度成功をしていて、もっと高いレベルを求めていることが一般的です。
当然、自信を持つことは大切ですし、コンサルタントはクライアントの役員クラスと折衝するケースも多いため肝が座っていることのメリットはあります。
しかし、コンサルティングファームでは、質・量ともに今までの会社と別次元のレベルで成果を求められます。
転職組の大抵は、入社直後はコンサルスキルを会得したり、極限まで自分を追い込むプロフェッショナルマインドを身につけるまで苦労します。
そのため、苦労している状態を抜け出せない人は、今までの会社では”できる側”だったのに、コンサルでは全く通用せず”できない側”というレッテルを貼られてメンタルがやられてしまうことが多いです。
単純に打たれ弱い
3つ目の特徴は、打たれ弱い=詰められ耐性が無い ということです。
コンサルティングファームには”レビュー”という文化があります。
作成した資料に対して、上位者がしっかりとフィードバックを行い、改善を繰り返していくというものです。
コンサルでは常に高いレベルの成果が求められるため、レビューの際にかなり細かく厳しい指摘を受けることがあります。
時には、過度なプレッシャーを与えられたり、人格否定とも取れるようなコメントをされることもあります。(前よりは減ったらしいですが)
そのため、こういった上位者からの詰めに耐えられない人はメンタルがやられてしまったり、自信をなくして戦意喪失してしまうというケースが多いです。
また、転職で入社した場合は、上位者が年下というケースも多々あります。
そういった環境でうまく精神をコントロールしてスキルアップを図っていけない人は、すぐにコンサルから離れていく傾向にあります。
今後のキャリアが明確過ぎる(コンサル以外)
4つ目は、ややポジティブな特徴として、コンサルを数年で辞めることを前提に明確なキャリアビジョンがあるということがあげられます。
失敗する理由として、そのような人はコンサルの業務を無駄だと感じてしまうからです。
前述の通り、コンサルは下積み期間が長いです。
「経営戦略や事業戦略などの領域で課題解決をしたい」という動機で入社したものの、コンサルタントという職位のスタッフが関われるるのは、最初はほんの一部だったりします。
論点や施策を考えたりする頭脳労働は上位者の役割で、コンサルタントはそれを手伝ったり、資料作成や手直しなどの雑務がメインです。
そのため、コンサルで早くスキルアップして辞めようと考えている人にとっては非常に退屈で無駄な時間に感じてしまうケースが多いです。
もちろん、資料作成スキルなどを向上させたい場合は無駄ではありませんが、転職する人が想像している”頭脳労働”をメイン業務として行うまでには数年が必要です。
こういったパターンでコンサルへの転職が失敗になることもあります。
コンサル転職理由が「給与アップ」のためだけ
5つ目の特徴は、年収が高いからという理由だけでコンサルに転職しているということです。
失敗しがちな理由として、コンサルはコスパが良くない=年収以上に働かないといけない ことが多く、働くモチベーションを保てないからです。
コンサルティング業界は、事業会社と比べて年収水準が高いことは事実です。
一部のファームを除けば、30歳時点で1000万前後は貰えることが多いですし、タクシー代も経費で落ちます。
しかし、決してコスパ=時給は良くありません。
給料以上に働く時間が多いですし、プレッシャーも非常に大きい職業です。
それを考えると、「もっと給料あげてよ!」と言いたくなります。
なので、コンサルタントという職業にやりがいや成長を求めず、単純に「年収が上がる」ことだけを目的に転職している場合は厳しい労働環境に耐えるモチベーションを保てずに失敗するケースが多いです。
長時間労働に耐えられない
6つ目の特徴は、シンプルに長時間労働ができないということです。
プロジェクトにもよりますが、コンサルは基本的に激務と言われています。
毎日深夜の3、4時まで働いて朝は10時に出社することもあります。
私も、毎日2時まで働いて帰るという日々が2ヶ月間続いたプロジェクトがありました。
そこまでいかなくても、平均帰宅時間は23時くらいだったりします。
私は前職が広告代理店で、23時くらいまで働くのが普通だったためある程度免疫はついていましたが、通常の事業会社だと20時帰宅などが多いため、なかなか慣れない人もいます。
そもそも、深夜まで働いて睡眠時間が奪われると、次の日のパフォーマンスが顕著に低下します。
単純に長時間労働ができても、パフォーマンスを出せなければ意味がないのでそういった点でも苦労する傾向にあります。
私の周りでも、毎日深夜まで働いて体を壊して辞めていくという人が少なくないため、長時間労働に耐えられない人は失敗するケースが多いです。
まとめ
今回は、コンサルティングファームに転職して失敗する人の特徴・パターンについてご紹介しました。
転職は、人生において非常に重要な分岐点です。
入社する企業によって今後のキャリアが大きく変わるためです。
そして、コンサルに転職する場合、通常の事業会社に転職するよりも失敗するリスクが高まることは紛れも無い事実です。
そのため、コンサルへの転職を検討していたり、オファーを獲得して入社を控えているという方は、今回の特徴に自分が当てはまっていないかを見つめ直してみましょう。