コンサルティングファームの種類
コンサルティングファームへの就職・転職を考えている方は、各ファームの違いや特徴について気になることが多いでしょう。
コンサルティングファームは、クローズドな業界であり、業務内容や各社の違いがわかりづらいです。
コンサルティングファームには、得意な業務領域ごとにラベリングされた○○系コンサルファームという区分が存在しています。
特に、下記のような区分がよく知られています。
- 戦略系コンサル
- 総合系コンサル
- IT系コンサル
- 財務・会計系コンサル
- シンクタンク系コンサル
今回は、この中の総合系コンサルティングファームについて、概要や戦略コンサルやITコンサルとの違いについてご紹介します。
総合系コンサルティングファームとは?
総合系コンサルティングファームとは、
「企業・事業戦略立案~IT戦略立案・システム化構想策定といったいわゆる上流フェーズから、会社総体としてあらゆるコンサルティングサービスを幅広く手掛けているコンサルティング会社」を指します。
具体的には、就職・転職市場で人気が高いアクセンチュアやBIG4といったファームが総合系コンサルティングファームにあたります。
社員数は数百人~数千人規模にのぼり、クライアントの全社戦略や事業戦略といった最上流フェーズから、業務オペレーション改革、ITシステム構想策定、実際のシステムインテグレーションまで幅広くサービスとして提供しています。
最近ではデジタルやアナリティクス、RPAなど新しい分野が出てきていますが、総合コンサルはこういった領域についても積極的に取り組んでいます。
総合系コンサルティングファームの組織構造
前述のとおり、総合ファームでは非常に幅広いサービスを提供しているため、内部の組織・部門も多岐にわたります。
基本的には、業界別の専門組織である「インダストリー」と、サービス別の専門組織である「コンピテンシー」があり、クライアントの課題に合わせて各組織が協力してプロジェクトを進めます。
出所:デロイトトーマツコンサルティングHP
具体的には上記のような組織構造になっており、横軸が業種に特化したインダストリー部門、縦軸が手法・サービスに特化したコンピテンシー部門になっています。
図を見るように、デロイトの場合は、インダストリー部門は小売、通信、自動車、エネルギーなどの業界に分かれています。
コンピテンシー部門はストラテジー、M&A、デジタル、人事などの部門が存在しています。
これらのインダストリーとコンピテンシー部門が顧客課題に合わせて必要に応じて協業し、課題解決を一貫してサポートできるようになっています。
例えば、自動車メーカーのクライアントニーズが「新規事業を策定し、売上を拡大すること」だった場合、自動車部門とストラテジー部門が協業するというイメージです。
尚、各総合ファームによって存在する部門は異なるため、上記のデロイトの組織図は参考としてとらえて頂ければと思います。
このように、クライアントのあらゆる課題に対して戦略から実行までを支援できるというのが総合系コンサルファームの強みであり、特徴です。
特に最近は、「戦略を描くだけでは価値がない」と考えているクライアントが増えてきています。
そのため、策定した戦略を現実的に実行するにはどういった組織体制が必要なのか、どういったオペレーションなら効率的に実行できるのか、そのためにどういったシステムを導入すべきなのか、といった”業務改革”や”システム導入”のフェーズまでを支援できる総合ファームには、多くの案件が依頼されるようになってきています。
総合系コンサルティングファームの業務領域
出所:グロービス(https://globis.jp/article/2122))
上図は、経営概念のピラミッドを表しています。
経営理念が最上流に位置しており、全てはここからスタートします。企業は、理念を元に経営ビジョンをたて、それを達成するための戦略を立てるのです。
そこから徐々に分岐していき、事業別の戦略や、それに対する人事や財務といった機能戦略を考える必要が出てきます。
厳密に言うと、機能別戦略の下位概念もあります。(オペレーション改革など)
コンサルティングファームは、このような戦略策定等がメインの支援領域となりますが、下図のように、各ファームによって得意な領域は異なります。
出所:グロービスを元に管理人作成
得意としている領域を○、×、△で表現したものです。
戦略系コンサルファームは、全社戦略~事業戦略の支援をコアバリューとしています。
総合ファームは、事業戦略~機能戦略の支援をコアバリューとしています。
専門ファームは、機能戦略の支援をコアバリューとしています。
ただし、総合系コンサルファームの場合は、全社戦略〜機能戦略まで一貫して支援しています。
さらに、図にはありませんが、機能戦略の下にシステム開発・実装を行うシステムインテグレーションや、システム運用保守を行うアウトソーシングといった領域もあり、総合系コンサルファームはそういった領域にも手を出しています。
特にアクセンチュアなどはシステムアウトソーシング部隊を自社に保有しているなど、ストラテジーとは異なる領域でクライアントへ価値提供しています。
これはコンサルティング業界全体に言えることですが、ストラテジー領域だけを提供していても、利益の拡大ができなかったり、クライアントニーズに対応しきれないためです。
そういった中で、総合系ファームはデジタルやテクノロジーといった新しい分野にいち早く注力しており、採用も積極的に行なっています。
AI、VR・MR、IoT、デジタルマーケティングなどの領域は専門部署が存在しており、全時代的なコンサルタントのイメージではなくなってきています。
※世界的に有名なカンヌ広告祭では、アクセンチュアやデロイトが受賞するなど、クリエイティブやエージェンシー領域でも存在感を発揮していますね。
今後も、特にデジタル領域において新しい分野が生まれるたびに、総合系ファームの提供サービスも拡大し、規模も大きくなっていくことが予想されます。
総合系コンサルティングファーム一覧
では実際に、どのコンサルファームが”総合系ファーム”に位置するのかについて紹介します。
メジャーなところでは、国内の4大監査法人と提携しているBIG4やアクセンチュアがあげられます。
その他、そこまで知られていないファームも総合系だったりするので、下記一覧でご確認ください。
- デロイトトーマツコンサルティング(Deloitte Tohmatsu Consulting)
- アクセンチュア(Accenture)
- アビームコンサルティング(Abeam Consulting
- ベイカレント・コンサルティング(Baycarent Consulting
- EYアドバイザリー
- PwC(プライスウォーターハウスクーパース)
- KPMGコンサルティング
- 日本IBM
- クニエ(QUNIE)
- 日立コンサルティング
- シグマクシス
上記のファームは、総合系ファームという括りですが、当然ファームごとに得意な領域や注力している分野は異なります。
例えば、デロイトは総合ファームの中でも戦略・ビジネス系案件を増やそうとしていたり、アビームはシステム案件が売上の8割を占めていたりします。
選考では、「総合系ファームの中でもなぜ弊社なのか?」といったことは必ず問われるため、各コンサルファームの強みは整理する必要があるでしょう。
まとめ
今回は、総合系コンサルティングファームとは?に関して概要や業務内容、他ファームとの違いをご紹介しました。
総合系コンサルティングファームは、就職・転職市場で非常に人気の高いファームですが、業務内容はやや見えづらい部分があります。
また、提供サービスも多岐に渡っているため、どこに各ファームの強みがあるのかということを知る必要があります。
今回の記事を参考に、総合系コンサルファームの違いや特徴をしっかりと調べて選考に臨めるようにしましょう。