コンサルファームに転職するメリット・デメリット–現役外資コンサルタントの本音
コンサルティング会社は、今でも転職市場・新卒市場の両方で非常に人気の高い会社です。
直近の、東大・京大生の就職したいランキングTO10では、多くのコンサルファームがランクインするなど、採用枠に対して倍率が高い状況となっています。
また、転職においても書類選考の段階で多くの応募者が落とされるなど、多くのライバルと戦う必要があります。
しかし、コンサルへの転職は大きなデメリット(リスク)も抱えています。
私自身、外資コンサルに入社して数年が経ちますが、多くのものを失ったな・・という実感はあります。
今回は、コンサルに転職するメリット・デメリットについて、現役コンサルの私が実体験を踏まえてご紹介します。
コンサルに転職するメリット・デメリットまとめ
はじめに、メリットとデメリットをまとめました。
【4つのメリット】
- ビジネスマンとして圧倒的なスキルを得られる
・論理的思考力
・対人能力
・資料作成力
・プロフェッショナルマインド - 年収が上がる
- 市場価値が高くなる→コンサルからの転職で有利
- 社会的信用が得られる
【5つのデメリット】
- 業務内容自体はつまらない
- 激務なので、労働時間が確実に長くなる
- 能力的にハードルが高い
・基本的なコンサルスキルの九州に時間がかかる可能性 - 自分より若い上司にこき使われる可能性がある
- コンサルから転職をするときに、年収が下がる
上記について、詳しく解説していきます。
コンサルに転職する4つのメリット
ビジネスマンとして圧倒的なスキルを得られる
コンサルに転職することでの最も大きなメリットは、圧倒的に成長できるということです。
これは、ビジネスマンとしての基礎的スキルという意味での成長です。
具体的な能力でいうと、以下の4つは特に大幅な成長を図ることができます。
- 論理的思考力
- 対人能力
- 資料作成力
- プロフェッショナルマインド
今までの会社で上記スキルを学んでいたとしても、コンサルに転職すればワンランク上のスキルを素早く、確実に身につけることができるでしょう。
ちなみに私は、未経験で入社して1年目は徹底的にこの基礎スキルを叩き込まれました。
そのため転職前と比較して、思考力・資料作成力についてはかなり成長できたと感じています。
それぞれのスキルについて、簡単に解説したいと思います。
論理的思考力
論理的思考力とは、ロジカルシンキングとも言われるものです。
具体的には、物事を瞬時に分解・組み立てし、整理を行う能力を養うことができます。
この能力を養うことで「現状の課題は何なのか?」「その中でも最も優先すべき課題は何なのか?」を即座に突き止めることができるようになります。
結果として、無駄なく効果的な課題解決のアクションを取ることができるようになるのです。
MECE、4P、5フォースなどのフレームワークについても学ぶことはできますが、これはどちらかというと知識習得に近いです。
対人能力
対人能力とは、コミュニケーション力を意味します。
具体的には、クライアントの潜在的な課題を引き出すための会話力や、クライアントを納得させるためのプレゼン力がが大きく成長します。
コンサルタントはクライアントの課題をヒアリングし、それに対する解決策を提示することが仕事になります。
そのため、コミュニケーションスキルが成長します。
資料作成力
資料作成力とは、パワーポイントやエクセルを活用して資料を作る能力です。
具体的には、パワーポイント資料のストーリー設計やスライドのデザイン、メッセージの言葉遣いなどのスキルが成長します。
コンサルタントの主たる成果物は、資料となります。
コンサルタントは毎日パワーポイントを使った資料作成やエクセルを使った分析作業に追われています。
そのため、高度な資料作成能力を身につけることができるのです。
プロフェッショナルマインド
プロフェッショナルマインドとは、最後までやりきる・コミットメントする能力です。
具体的には、どんなに難しい課題でも妥協しないマインド、常に120点を目指し続けるマインドが身につきます。
コンサルタントは、クライアントから高いフィーをもらっているため、日々尋常じゃないプレッシャーの中で仕事をしています。
コンサルティングファーム自体に”妥協はしない”という文化が染み付いているため、最後の最後まで考え続けるということが求められます。
そのため、成果物に対する考え方においては、よりプロフェッショナル思考になります。
年収が上がる
コンサルティングファームは、一般の事業会社と比較して非常に高い給与をもらうことができます。
コンサルタントという役職であれば、未経験であっても600~800万の年収が用意されています。
30歳時の平均年収も1,000万は越えています。
そのため、通常の事業会社から転職した場合、確実に年収を上げることができるでしょう。
その一方で、労働時間が長いことや、プレッシャーが大きいことを考えると、決してコストパフォーマンスは良くないということを認識する必要があります。
市場価値が高くなる→コンサルからの転職で有利
コンサル経験者は、転職市場でとても価値が高いです。
なぜなら、先ほど説明した基礎的なビジネススキルを持っているからです。
通常の事業会社であれば、そういったビジネススキルを持っている人が少ないので、非常に重宝されます。
そういった意味では、コンサル後の転職においても、優良企業に入りやすくなるというメリットがあります。
ちなみに、基礎的なビジネススキルだけではなくて、専門領域という強みを持っているとさらに市場価値は高まるので、コンサル在籍中に専門性を高めることも重要です。
社会的信用が得られる
具体的には、賃貸や融資、クレジットカードの審査類がすぐに通ります。
先日、訳あってクレジットカードを7枚同時に作りましたがすぐに審査に通りました。
ラッキーです。
また「なんとなくすごいことをやっていそう」というイメージから、発言したことの説得力が高まります。
あまり本質的な理由にはなりませんが、たまーにメリットになる場合があります。
コンサルに転職する4つのデメリット
業務内容自体はつまらない
転職を目指す人には、耳の痛い情報かもしれませんが、個人的にはコンサルの業務は非常に退屈だと感じます。
なぜなら、論理的な積み上げによって資料を作るという作業は、当たり前のことを着実に行う作業だからです。
しかしこれは、”一般的につまらないと感じる”というよりも、細かい作業が嫌いな人にとってはつまらないと感じるという意味です。
私がつまらないと感じたのも、ある程度コンサルの仕事に慣れたことや、私が細かい作業をつまらないと感じるからという原因があります。
ただ、入社したての頃は非常に刺激的でインプットも多かったですし、転職前と比べて大きく成長できたと実感しています。
激務なので、労働時間が確実に長くなる
ご存知の方は多いと思いますが、コンサルはとにかく激務です。
忙しいプロジェクトに入れば終電を逃すなんてザラですし、午前3時・4時まで仕事をしているプロジェクトもあります。
そのため、身体をこわしてしまう人がたくさんいます。
特に、前職でそこまで労働時間が長くなかった人の場合は、転職後の労働環境に馴染めないという人もいます。
また、忙しさゆえにプライベートの予定を犠牲にしなければなりません。
平日の夜に飲みに行けることは少ないですし、忙しいプロジェクトの場合は土日も返上で働く必要があります。
そのため、労働時間は短い方がいい、ワークライフバランスをしっかり保ちたいという人にとっては、デメリットとなります。
能力的にハードルが高い
コンサルに転職すると高いレベルのスキルが身につく一方、逆にそれがデメリットにもなります。
要は、高いレベルについていけないことがあります。
コンサル会社では、プロジェクトにアサインされて仕事を行うスタイルですが、毎回プロジェクトメンバーが異なるため、経験による意思疎通ができません。
そのため、自分のバリューをしっかりと出さなければ、周りから評価をされなくなってしまいます。
しかし、特に転職組は基本的なコンサルティングスキル(ロジカルシンキングや資料作成力など)がない場合がほとんどです。
そのスキルを吸収しながら価値も出さないといけないという二重苦が待っています。
そうこう言う私も、入社時にはめちゃくちゃ苦労しました。
特に私が苦労したのは、スピードです。
タスクを処理するスピードや、思考を整理するスピードなど、最初の2ヶ月はついていけずにかなり苦労しました。
その2ヶ月で、評価が最低になったこともあります。
誰も丁寧に教えてくれないし、待ってはくれませんでした。
クライアントから、1時間数万円という高額なフィーをもらっている以上、いつでもプロフェッショナルとしてのアウトプットを求められました。
その時はなんとか食らいついて最終的にある程度のバリューを出せるようになりましたが、周りのレベルについていけない人も少なからずいることを認識した方が良いでしょう。
また、人によってはバリューが出せずに人格否定されることもあります。
人格否定自体はダメですが、コンサルのようにトークストレートな環境に馴染めない人にとっては非常にストレス負荷が大きいため、デメリットとなるでしょう。
自分より若い上司にこき使われる可能性がある
これはコンサル特有ですが、30代前後の転職をする場合は上司が年下ということも多々あります。
コンサルは事業会社と違って、個々のプロフェッショナルの集合体という意識が強いです。
そのため、年齢に関係なく思ったことは言葉にして指摘するし、言い方をオブラートに包むことも少ないです。
事業会社の場合は、年上の人が部下になった場合、気を遣う人が多いですよね。
コンサルはあまり気を遣いません。
仕事ができなければ年上でも厳しく接するという文化になっています。
そのため、30代前後で転職してきた人はこういった問題に悩まされているケースが多い印象です。
コンサルから転職をするときに、年収が下がる
コンサルから転職をする場合は、選択肢が多く、市場価値も高いため、基本的には有利な状況です。
しかし、コンサルで給料をもらいすぎている場合は、転職先でその年収を維持できないケースがあります。
特に、私のファームではマネジャーくらいになると1,200~1,500万ほどもらっており、通常の事業会社の場合、割と上のポジション級の年収です。
いくらコンサル出身とはいえ、30そこそこで、中途で入ってくる人間に会社の重要なポストをいきなり任せるというケースは少ないでしょう。
そうなると、必然的にポストが下がるため、年収も下がるといったケースが多々あります。
私のファームでマネジャーをやっている人は、年収を維持するために、他のファームに転職しているケースが多いです。
マネジャーになる前のコンサルタントくらいであれば、600~800万なので、転職しても年収を維持できるかもしれません。
まとめ
今回は、私の実体験も踏まえつつ、コンサルに転職するメリット・デメリットをまとめました。
やはり、コンサルティングファームは特殊な部分もあり、入社後になかなかパフォーマンスを出せなかったり、自分が思っていたキャリアと違うといったことが起こります。
そうならないためにも、転職前にしっかりとメリット・デメリットを把握して、本当にコンサルへの転職をするべきなのか?を考えた方が良いでしょう。